【IT課題】2000年代前半の業務システム刷新提案書(匿名化アーカイブ)

【1】 はじめに

本記事は、2000年代前半に作成した業務システム提案書を匿名化し、当時の開発体制や技術選定を振り返るアーカイブです。

2000年代前半、私はソフトウェアハウスの社員でしたが、開発業務以外に企業向けの業務システム刷新プロジェクトで、SE/PG業務のほかプリセールスとして提案書を作成する機会を多くいただいていました。

当時は、Access ベースの業務システムがデータ量や業務拡大に追いつかなくなり、
– 拠点間での情報共有
– 営業時間外の照会対応
– 将来のパッケージ化

といったテーマが、今と同じように重要な課題として浮かび上がっていました。

このページでは、当時作成した提案書を「匿名化・再編集」したうえで、
– どのような構成で提案していたのか
– どんな技術的検討をしていたのか
– 今の視点から見て何が普遍的で、何が変わったのか

を振り返る「アーカイブ」としてまとめています。

【2】プロジェクト概要とフェーズ構成

当時の提案では、いきなり全面刷新するのではなく、段階的にリスクを抑えながら進める構成をとっていました。

■フェーズ構成

図1:フェーズ構成(2000年代前半の業務システム刷新)

(1)フェーズ1:既存システムの安定化
Access ベースの業務システムが不安定化していたため、短期間での安定稼働を最優先としたフェーズです。
バージョンアップと軽微な改修で、日常業務への影響を最小限に抑えることを狙いました。

(2)フェーズ2:全体刷新(Web化)
拠点間でのデータ共有、顧客管理・実績管理・在庫管理などの機能拡張、外部システム連携を含む全体的な再構築を行うフェーズです。
将来のパッケージ化を見据えたアーキテクチャ設計も、この段階で検討しています。

(3)フェーズ3:パッケージ化
市場性・価格帯・サポート体制・流通などを含めて検討し、汎用パッケージとして展開することを目指したフェーズです。

20年前の資料ですが、「段階的に価値を積み上げる」という考え方は、今のアジャイル開発にも通じる部分があります。

【3】システム全体構成(Web化後のイメージ)

Access 単体アプリケーションから、拠点間でデータを共有できる Web アプリケーション構成へ移行するのが、このプロジェクトの大きな方向性でした。

■システム全体構成

図2:システム全体構成(Web 化後の刷新案)

・ 拠点(修理センター、取引先、小売店)から、インターネット/VPN 経由で Web アプリにアクセス
・Web アプリケーション層で、顧客管理・実績管理・在庫管理・外部システム連携・バーコード対応などを提供
・RDBMS(SQL Server / Oracle / Postgres など)を用いたデータベース層で、顧客・実績・在庫・ログを一元管理
・ 本社側では、修理部門・入出荷部門が内部ネットワークから利用
・ 将来的には、この構成をベースにパッケージ化を検討

今見るとクラシックな 3 層構造ですが、「拠点からのオンライン参照」「外部システムとの連携」「将来のパッケージ化」という発想は、今も変わらないテーマだと感じます。

【4】開発プロセス(ウォーターフォールモデル)

当時の企業向けシステム開発では、ISO9000 系の品質管理プロセスに準拠したウォーターフォールモデルが主流でした。

■開発プロセス

図3:ウォーターフォール開発プロセス

(1) 要件定義:業務整理、システム化範囲の確定、機能要件の明確化
(2) 基本設計:画面・帳票・システム構成・ネットワーク構成の設計
(3) 詳細設計:DB設計、API仕様、内部ロジックの設計
(4) 開発(実装):プログラム実装、外部システムとのインタフェース開発
(5) テスト:単体テスト、結合テスト、総合テスト
(6) リリース:データ移行、本番切替、運用開始

工程ごとにレビューと成果物が定義されており、「プロセスで品質を担保する」という思想が強く表れていました。

【5】 開発体制

プロジェクトは、顧客側と開発側がそれぞれ役割を持ち、縦型の体制で進める構成でした。

■開発体制図

図4:開発体制図(顧客側+開発側)

 (1)顧客側
・ プロジェクト責任者:全体方針の決定
・ プロジェクトマネージャ:業務部門との調整、要件取りまとめ
・ 業務担当:業務フロー整理、仕様レビュー
・ インフラ担当:サーバー/ネットワーク構成、運用設計

 (2) 開発側
・ プロジェクトマネージャ:進捗管理、品質管理、リスク管理
・ 開発リーダー:技術方針決定、設計レビュー
・ アプリ開発チーム:Webアプリ/API/I/F開発
・ インフラ構築チーム:サーバー構築、DB環境構築
・ テストチーム:単体/結合/総合テスト、品質保証

今のプロジェクトと比べると、役割はほとんど変わっていませんが、
コミュニケーションの手段や開発スタイル(ウォーターフォール vs アジャイル)は大きく変化しています。

【6】 今振り返って感じること

この提案書を20年ぶりに見返してみると、

・ 構成や図の置き方は、今でも十分通用する部分が多い
・ 一方で、技術選定や前提としているインフラ環境は、完全に「その時代のもの」
・ それでも、「課題を整理し、段階的に解決していく」という骨格は変わらない

ということを強く感じます。

このページは、単なる「昔の資料の再掲」ではなく、
・ 自分自身のキャリアの軌跡
・ 技術と提案スタイルの変遷
・ それでも変わらない本質

を残しておくための**アーカイブ**として位置づけています。

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